今日のテーマは、「がんのことを自分で調べるときの注意点」です。
昔は、主治医の治療方針がすべてでした。
がんの告知、先生お願いしますという一言と、覚悟。深刻な告知ほど、家族だけに知らされるようなケースも「それが慣習だった」というくらい多かった時代がありました。
その後、セカンドオピニオン(別の意見)とか、インフォームドコンセント(患者が自らの自由意思で治療方針に合意する)という概念が出てきました。
インフォームドコンセントのような説明する責任が義務化されたのは、医療法が改正された1997年。まだ、たった20数年前です。
もちろん、なにもかも本人告知だけがすばらしい、インフォームドコンセントの理念だけが正しいということではありません。
患者本人が未成年である場合は本人告知は保護者の判断も大きく関与してくるところですし、成人でも、本人の精神状態がどういうものであるか、本人が成人していて判断力を備えている場合でも、本人の環境、家族の希望、思想や宗教上の理由での希望などなにもかもが、病状そのものというファクターの上にあります。
ほんとうに患者によって千差万別です。
インターネットという海に飛び込んで、手あたり次第に病気の名前をいれて検索をすると、たくさんのサイトが検索結果として出てきます。
そこにある情報は信頼性のあるものなのか、本人の判断力が重要となってきます。
まず、ごく一般的におすすめできるのは、国立がん研究センターが提供している「がん情報サービス」。各臓器に発生する固形がん、白血病などの血液のがん、肉腫などのがんについても、基礎知識から、標準的な治療について書かれていますね。
とくにお金のこと、患者が使える公的制度のことについては読むべき情報が更新されています。
検索するとき、「がん @@@@」と@@@@のところにどんな言葉を入れるか。
これは何かを検索しようとするとき、「and検索」といって、ふたつ以上の単語が含まれているサイトを効率よく探すのに便利な方法ですが、「がん 治る」とか、「がん 消える」という言葉は、避けておいたほうがよいかも知れません。
人の、藁にもすがりたい思いを利用して、先ほど言ったように、お金儲け色の強いビジネスサイトが検索の上位に来るよう仕組んでいる場合が少なくないからです。
よくないサイトをいったん効率よく避けるひとつの手段として、検索用語を入力する白い窓の下に、「すべて 画像 動画 ショッピング」などと並んで「ニュース」とあるので、そこで一度「ニュース」を選んで検索すると、まがりなりにも新聞サイトのフィルターを通ったニュースが出てくるので、ひとつの方法と言えるかもしれません。
例えば「がん 光免疫療法」で「すべて」で検索した場合と、
「がん 光免疫療法」で「ニュース」で検索した場合とを
試してみてください。
前者「すべて」の場合は、高額なプランをおススメする、なんだか気を引くような言葉の並ぶサイトがずらっと続くのがわかります。
インターネットの時代を生きる私たちは、昔の人がもたなかった選ぶ権利を与えられた代わりに、情報を選別する力を備えることが必要とされているのかもしれないですね。
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* * 編集後記 *
がんのことを調べたい、調べようと思ったら、
最初の配信のころにテーマにしたことがありますが、
いちばんおススメなのは「血液検査の結果を深く読むことができるようになること」です。
検査用紙のなかで知っておきたいのは、とくに3つ。
白血球の数(WBC)
リンパ球の数値(LYM)
腫瘍マーカー
私ももちろん経験者ですが、不安にかられて手あたり次第検索しないと気が済まないようなとき、気をまぎらすこともできない、その気になれないようなときは、具体的で正確な「知識」を増やすのがいちばん。
白血球の数がどうなることがよりよいのか、リンパ球は何と関係しているのか。そういうことに詳しくなることは、自分や家族の頼れる「力」になっていきます。
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