こんにちは。
今回は、小さなこどもに「がん」を説明する、というテーマです。
私が胃がんのステージⅣ、余命3カ月……と宣告された13年前は、こどもたち、といってもすでにふたりとも成人している年齢でした。なぜがんになったのか、どうしよう、と自分だけでも頭が真っ白になっていたのに、それをこどもにどう伝えたらよいのかということも覆いかぶさってきて、ずいぶん悩んだのを覚えています。
成人したこどもに対してでさえあれほど悩み考えるのだから、思春期で難しい年ごろの10代や、もっと幼いこども相手だったら、小さな心で受け止められるのかと、悩む親御さんは、とてもおつらいことと思います。
どう伝えるのか以前に、親の病気を伝えるべきかどうか、という迷いもあるかと思います。
親ががんになったとき、こどもにそれをどう伝えるのか、伝えるとしたらどう説明するのか。みなさんはどう思われますか。
ご経験のある方は、どうされましたでしょうか。小さな子、思春期のこどもが、親の病気のことで傷つくとしたら、それは親としてほんとうに怖いことですよね。
チャイルド・ライフ・スペシャリストという専門職があります。
こどもに、がんのことを説明するときは、それがこども自身の病気としてでも、親のがんを説明するときでも、誠実に、ごまかさず、こどもの心によりそうことが重要だ、といいます。もちろん年齢にも個人差にもよるところはあると思いますが、こどもだからといって親の病気を秘密にし、親のメンタルが不安定になったり、隠しごとをしているようなそぶりを感じたら、こどもは「わからない不安」にさいなまれてしまう。
わからない不安より、わかる不安のほうがだいぶいいのです。がんのことを小さなこどもに話すとき、がんという病気であること、うつる病気ではないから今までどおり接することができること、誰かのせいで病気になったのではないということ、この3つを年齢に応じて伝えることが基本にあります。
こどもは黙っていてもいろいろと考えをめぐらして、「自分が悪い子にしていたからお母さんが病気になったんだ」、と思いこんだりしてしまうことも多いのだといいます。
こういう病気で、こういう治療にあたるから、この先、このくらい病院にいったりするよ、などとあらかじめ知らされていることなら、余計な不安を抱かず、理解しようとする力が育ちます。
告知の際だけでなく、長い治療生活のなかでも、こどもとの関係をよりよいものにしていくために、患者自身、家族、とくにこどもたちの不安を最小限にするために、家庭内の雰囲気というのはとても大切。
がんのことをこどもに伝えるときのコツについて、より詳しく、秘訣を教えてくれるこんなWEBサイトもあります。
【ホープツリー】
がん患者とその家族たちに役立つ、
いろいろな情報を発信してくださっていますので
まだの方はぜひご覧になってみてください。
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『セックス・アンド・ザ・シティ』、略して『SATC』というそうですが、大ヒットしたアメリカの恋愛ドラマがあります。
やや過激な、恋愛のドラマで、ファッショナブルなニューヨークに住む4人の女性たちが
恋愛模様を繰り広げるのですが、「がんに関するシーンがあるから」とずいぶん前にとある女性から勧められ、このあいだたまたまその数話を観たのでご報告。
最近は「ネタバレ」という言葉が定着していて、あらすじを言ったりするとよくないのだそうですが、ちょっとだけお伝えしますね。
4人の主人公の女性たちのなかで、いちばん年が上で、いちばん奔放な恋愛をしている
サマンサという女性が、がん患者になり、自慢の金髪も抜けてしまうシーンがあります。
鏡に向かって呆然とするサマンサの姿。それを見て、彼女の病気を初めて知った恋人の男
(名前はスミス……だったかな)は、俳優でハリウッドセレブ役なのですが、その瞬間、おなじ鏡を見ながらバリカンを手に取り、頭をガガーッと丸坊主にするんです。
スミスの行動に驚くサマンサ。バサッ、バサッと白い洗面台に落ちる金髪の髪……。
そして、その次のシーンが、パパラッチの前に車からふたりで降り立つところ。
頭に素敵なロングスカーフを巻いた美しいサマンサと、金髪の坊主頭がカッコいいスミスがウインクかなんかしながらその熱々ぶりにフラッシュを浴びます。
がんの映画での描かれ方というのはいろいろありますが、
2人の気持ちの流れあう、その鏡の前の瞬間がとても印象的でした。
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