2020年9月に、世界に先駆けて日本において認証されたのが「光免疫療法」。
開発したのは、小林久隆さんという医学者。アメリカの国立衛生研究所で主任研究員をされています。
「光免疫療法」。これはその名の通り、光でがんを攻撃して、それだけでなく同時に患者の免疫で防御力も高めるという最新の治療法です。この治療法が特別に注目されているのは、
なんといっても、放射線治療や抗がん剤と大きく異なり「副作用が格段に少ない」こと。
これはとてつもなく画期的なことです。
理論的には、がん細胞のまわりの正常細胞に影響を及ぼさずがん細胞「だけ」を選択して攻撃してくれるというのです。しかも同時に、がん細胞が破壊された瞬間に、がん自体が抗原情報をまき散らし、これを免疫細胞が得ることで、免疫システムが発動、同じ種類のがんを防ぐワクチン効果にさえなるといいます。ただし、今の時点では「一部の頭頚部がんのみが保険の対象」で、「切除不能な局所進行または局所再発の頭頚部がん」だけがこの新療法の対象になっています。
とはいえそれらの術後経過は実際とてもよいのだそうです。東京医科大学病院で実際に咽頭がんの施術をした塚原医師は、光免疫療法の場合、これまでの外科手術のように腫瘍を切除すると同時に必要だった欠損部分の移植手術を必要としないため、7時間かかっていたところ1時間で済む。これが、光免疫療法のアドバンテージとして、副作用がほぼないだけでなく、患者さんの肉体的、精神的負担も格段に軽くできる点であると述べています。
では近い将来はというと、「近い将来には、8割から9割の固形がんに適用されるはず」と見込まれているようです。(※固形がん:白血病などの血液のがん以外の、臓器、組織で腫瘍となるがんのこと)
副作用が少ない、理論的にはない、とされる光免疫療法。
一日も早く多くのがんに適用される日を望みたいですが、あるお医者さんに、どうしてほかのがん治療にもこの光免疫療法がすぐ広まらないのか、一般人にもわかるように説明してほしいと頼んだところ、「ほとんど痛みを感じない患者さんもいる一方、かなり痛みをともなう患者さんもいる」であるとか、「光の届きにくい場所の場合も多く、照射装置に限界がある」、いちばん大きいのが「薬剤が結合しながん細胞には効かない」など、さまざまな課題があるのだそう。
国立がん研究センターではほかのがんに対する治験もすでに始まっていて、食道がん、胃がんをはじめ有効とされるがんに対して、そして第二、第三のがんに対しても新薬の開発が行われ始めているとのこと。
しかし一方で、光免疫療法という名前だけが独り歩きしだしたこともあるのか、高額な治療費だけが目的の悪徳クリニックも跋扈しはじめています。今、光免疫療法がどこなのかというと、現在はちょうどここ。保険のきかない自由診療で光免疫療法まがいの治療をうたう悪質サイト・悪質療法にひっかかるようなことのないよう、くれぐれも気をつけなければいけません。
4番目、5番目の標準治療として、多くのがん治療に光免疫療法が保険で適用される近い未来を、心から望みます。
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