世界で一番過酷な拷問は「眠らせないこと」というのをご存知でしょうか。
小さな刺激を与え続け、眠らせないようにすると、一週間以内に人は亡くなってしまうのだそうです。
マウスによる実験では、睡眠をとらせないと、脳の脳幹という部分に障害が現れ、体温調整などに異常をきたし、死んでしまうことがわかっています。
眠気が起きるのは、脳を休めるために、脳自身が「眠ってくれ」と合図を出すからです。
この指令があるからこそ、思考や行動を停止し、休む体制に入ることができます。
ところが、その指令に逆らって、目や耳からの刺激を受け続けたり、思考を繰り返したりしてしまうと、脳はあきらめて活動モードにスイッチを切り替え、心拍数や血圧を上げて、体を興奮状態にさせます。
強い眠気が襲ってきても、一旦我慢して活動を続けると、眠気が飛んでしまうのはこのためです。
こうした状態を続けていると、いざ眠ろうとしてもなかなか寝付けなくなったり、眠ったつもりでも浅い眠りになってしまったりと、睡眠の質が悪くなってしまいます。
こうしたことが続くと、脳も疲労し、神経回路に異常が発生します。
その結果、仕事でミスを連発したり、記憶力が低下したり、判断能力が鈍ってきたりします。
また、睡眠時間が短くなると、食欲を抑制する「レプチン」というホルモンの分泌が減少し、逆に食欲を高める「グレリン」というホルモンの分泌が上昇することがわかっています。
寝不足の状態が二日続いただけでも、これらのホルモン分泌の影響によって食欲のコントロールが効かなくなり、食べすぎを起こすことになります。
そのため、慢性的な寝不足が続くと、糖尿病や心疾患などの
生活習慣病にかかりやすくなってしまうのです。
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